電蜂 DENPACHI

電蜂 DENPACHI (富士見ファンタジア文庫)

電蜂 DENPACHI (富士見ファンタジア文庫)

読後の感想を一言でまとめると「なんだかすっきりしない話だったなあ……」ってところ。特に終盤、唐突で強引な展開が多すぎる気が。『Innovate』の正体はendless-rain.の最初の2ページの文章から察するに今まで使い捨てにされてきたゲームの怨霊のようなもの? 解説で述べられている通り「電蜂」というタイトルは印象的でありながら奇抜過ぎずなじみやすい良いタイトルだと思うし、携帯電話を用いて能力を発動させるというアイデアも良かったとは思う。しかし、確かに各登場人物ともドラマを持っているのだけど、どうもどの人物も印象が薄いというか特別魅力を感じるような登場人物はいなかった。作者はもともとゲームの企画屋志望でこの作品でもゲームのシステム作りに力を入れたようだが、正直システムの設定もそんなたいそうなものには思えなくていまいち。ゲームのミソはルールなのにルールの設定が甘いというか。基本的には火や氷だとか強化された腕力や武器とかで戦うという使い古された設定の能力バトルものだし、しかも武器は鉄パイプだとかベルトだとかで想像するとビジュアル的にカッコいいとは言いがたいし、ドラマ部分はもの足りない感じだし、あいまいな表現ではっきりわからない部分も残したまま終わっているしで、そこそこ面白いのにどうもすっきりしない作品だった。