風神秘抄

風神秘抄
ネタバレ
「身が軽い」「天狗の弟子」「笛の少年と舞の少女」という点から源義経の話かと思った。
残念ながら今回は今までの作品ほどの満足感はなかった気がする。なんというか、パターンが読めてしまったのかも。草十郎と鳥彦王についてはよく描けていた。特に鳥彦王(とその一族)はすごく気にいった。こういう「言葉を話す動物」という要素はファンタジーでは珍しくないものだけど、こんなふうに気にいったのは初めてかも。しかし反面、糸世がよく描けていなかった気が。なんせ糸世は一度姿を消してからまるまる一部ほど出番がないからなあ。糸世にあまりこれといった見せ場がなかったのが残念。まあ、インタビューによると今回真っ先に思い浮かんだのは草十郎と鳥彦王らしいが。そんなわけで作中で一番好きだったのは第三部だった。糸世が行った異界が「現代社会」というのもやめてほしかったなあ。こういう話に急に身近な要素が出てくると雰囲気が壊れてしまう気が。最後の場面は草十郎と同じように万感の思い。