喰霊-零- #09「罪螺旋 -つみのらせん-」

 前回のラストで倒された黄泉にすぐに殺生石を埋め込むのではなく、身動きを取れなくしてさらに精神的に追い込むとはなんてえげつない。この展開を考えた人は鬼ですね(褒め言葉) 身体は動かなくなり、声も出せず、婚約は取り消し、冥の殺害の疑いもあり。冥の殺害に関しては、養父を殺した犯人であり、殺生石を埋め込まれ悪霊化しつつあったとはいえ、まったく私情が無かったかというとそうとは言い切れない部分があるのが痛過ぎる。動けなくなった黄泉を神楽がかいがいしく世話をし、黄泉の代わりのように涙を流してと、ここにきてなお一層ふたりの絆は強まるばかりかと見えたのに、冥の話題を持ち出すという地雷を踏んでしまって神楽が黄泉を追い詰める一端を担ってしまうのが残酷きわまりない。そしてここまでドシリアス展開の中でなおサービスシーンを欠かさないのが素晴らしい(笑) それも無理にサービス要素を入れるのではなく、話の流れ的にそれほど不自然でないのがいいな。エンディングの振り向かなくなった黄泉が非常に印象的。振り向いた黄泉の姿は前回で見納めで、もはや二度と見ることはできないのか……
 ただちょっと気になるのはここ数回の展開がやや駆け足気味に感じられること。まだまだ消化しなければならないエピソードが残っているようだから仕方ないし、話の流れがおかしいと感じるほどではないので問題ないが、やはりこの作品は1クールではなく2クールかけてじっくり描いてほしかったなと。そうすればもっと丁寧に展開を積み重ねられただろうし、5話目みたいな平和な日常エピソードももっと入れることができて、その分、後半の展開の残酷さも際立っただろうに。