走って帰ろう!

走って帰ろう! (ファミ通文庫)

走って帰ろう! (ファミ通文庫)

12億5千万の借金というのはいくらなんでも高額すぎるとか、そんな借金を素人競輪で返済するなどという設定は無理があるのではと思えて最初は大丈夫かと不安になった。借金なんて設定を用いずに物好きが集まって行っている非公式レースというぐらいでよかったのでは? 高額の借金を背負うという設定のため当初心配していたような暗さや悲惨さは淡々とした描写のためかあまりないのは良かったが、反面少々起伏に乏しい印象も。それに主人公の心理描写をもっと掘り下げた方が良かったと思う。とはいえ全体としては十分面白かったし満足。レースの描写が非常にお見事。『銀盤カレイドスコープ』みたい。主人公がレースに打ち込んでる様子がうらやましく思えたし、なんだか自転車に乗りたくなった。